戸棚の中の骨

今日も昨日とおなじような日が続く、と思ってはない。
うそぶきながらも、どこかでは信じていたものか。緑のままのイチョウの下、踏みつけにされたぎんなんばかりが目立つ道すがら、にわか雨の冷たさには、裏切りにあったような思いがした。

コンビニで、お湯は提供しておりませんがよろしいですか、と申し渡されたことがあった。切り出す前に断られる面白くなさも手伝い、店を出てからも頭を去らない。
店の前で群れをなすなと、客の区別なく、あらかじめ釘を刺していたのだと気づいたのは、家に近づく頃だった。

タクシーの運転手が、木屋町あたりで客待ちは、近頃しにくくなったとこぼす。
もとより飲み屋が多いあたりだから、急に取り締まられるのも理由がわからない。
たしかに、その頃の夜は、制服姿とライトが目についた。
聞けば、動員の理由は、若者二人組が勤め人から財布を召し上げたあげく、殺してしまった事件。警官が大勢で見張っているから、タクシー側でも、堂々と車をとめるには憚られるのだという。車も人も少ない通りが、不穏にみえた。

目につかないところで何事かは起こっているものだと、日々の確かさを、時折あやしむ。
(2007/10/2)