なにかを勧めるのは、簡単なようでむずかしい
スティーヴン・キングはかなり追いかけていた時期があり、今でもベストは『IT(イット)』だと思っている。
これはホラーではなくて、田舎と都市の話でもあるし、ひとの一生にかかわる小説だった。*1
◆前に書いたレビュー
文庫1巻
文庫2巻
文庫3巻
文庫4巻
ただ、いかんせん、これは長い。今まで何度も人に勧めては、「長い」を理由にことわられてきた*2。
次点であげるなら『シャイニング』、『キャリー』『ファイアースターター』『デッド・ゾーン』の超能力三部作。
宮部みゆきの『龍は眠る』は『デッド・ゾーン』、『鳩笛草』は『ファイアースターター』、小野不由美『屍鬼』は『呪われた町』を意識している*3から、そこをとっかかりにしてみるのも良い。
歴史ものを読むには「歴史」「歴史上の人物」に詳しくなければ楽しめないんじゃないかと思うと、腰が引ける。歴史小説好きな人がよく話題にのぼらせる人物名は、さっぱりだ。歴史そのものについても明るくない。それらが自明のこととしてあつかわれていたら、きっとついていけない。
そう思うことがあるのだとしたら、司馬遼太郎は敷居が高いような気がする。
隆慶一郎『影武者徳川家康』はどうだろう。
徳川家康が、ある時点から別人といれかわっていた、とする。その人物とは?いれかわったタイミングは?いれかわりが許された理由は?すべておもしろいうえ、各国戦国武将の名前や、特別な知識はいらない。
そのあと、同著者『吉原御免状』、網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』にすすむと、長く楽しめる*4。
気になっているにもかかわらず、なぜ自分は今までそれを読んでこなかったのか、は人ごとに違うのだろうし、原因が「時間」であるかもしれないけれど、本当に読みたかったら、時間はつくれる。小説から遠ざかっていたために、うそばなしを受け入れる力がおとろえているのかもしれない。
新しいものに手を出すときのおっくうさが、どのあたりにあるのかがわかれば、読みたい本に少し近づけるような気がしている。